2017.11.22
労働環境の改善はどの業界もやっていかなければなりませんが、医療関係はかなり知恵を絞っていかないと、とんでも無い事になりそうです。
今日のテーマは「日本産婦人科医会がまとめた、医師の働き方改革を実施した場合の恐ろしい試算」でお送りします。
●医療現場には患者がいると言う現実
ちょっと横道から入りますが、医療ドラマ・医療現場のドキュメンタリーなどを見ていますと、リアルでも関係者の勤務時間がすごく長い事は想像に難くないですよね。
国防をあずかる自衛隊や治安を守る警察官のみなさんは、労働基準法適応外だそうですね。もちろん緩急はあるでしょうが、全体的にはキツイ勤務だと思いますし、何かあればそれこそ「不眠不休」になってしまいます。国民の一人として感謝しかありません。
ただ、労働基準法適応外の職場である事は事前に納得済みで働いていると思います。国を守る・治安を守ると言う崇高な思いがそれを支えているのでしょう。
さて、勤務医・看護師は労働基準法対象者です。
しかし、現場ではドラマ並みの勤務実態で、ちょっと古くて恐縮ですが「全国医師ユニオン」が実施した2012年の調査では、勤務医の約8割が当直が明けた翌朝から、通常の1日勤務に入ります。
仮眠もあるでしょうが、何かあれば即応しなければいけない状態の仮眠は、労働時間カウントです。これを基に考えると週70~80時間働いているんじゃないでしょうか?
ただ医療現場には患者がいますからね。単にこれを改めようでは、話は進みません。
スポンサーリンク
●日本産婦人科医会のまとめ
医療現場で特に勤務環境が厳しい産婦人科ですが、「医師の働き方改革を厳密に実施した場合」は多くの病院が、深刻な医師不足に陥るとの試算を「日本産婦人科医会」がまとめ、11月8日にプレスリリースしました。
その試算は労働基準法が上限とする1日8時間・週40時間での勤務を想定しています。
その上で、日勤や深夜勤務などシフトごとに勤務時間を分ける交代制を取った場合、現在の医師数で十分な医療提供が出来るか調べたものになっています。
その結果なんですが、まぁみなさんの想像通りだと思いますが厳しい結果です。
高度医療を提供する総合周産期母子医療センター・地域周産期母子医療センターでは、1231人の医師が不足して、運営できなくなる施設は277施設で実に全体の68%になります。
これにより約14万7千件の分娩に、影響が出る恐れがあるとの事です。
また産婦人科がある一般病院でも、約半数が医師不足が生じる可能性があるとしています。
スポンサーリンク
●この想定は極端とは思いますが…
こう言う想定調査は大事だと思います。その上で現実を鑑み、労災の「過労死ラインの目安」とされている月80時間内の残業ならどうか?あるいは「健康障害と労務の関連性」が高まると言われている45時間以内の残業ならどうか?などの試算もしてみると良いのでは?と個人的には思います。
さて、「目の前に患者がいるから医師や看護師は疲弊しても良いのか?」と問われれば多くのかたが否定されるでしょうが、自分の家族が急患で救急病院に行ったところ「担当医師は今月の規定労働時間を超えたので先ほど帰りました」と言われたら…
これも世の中に多くある「総論賛成・各論反対」の議論になってしまうのかな?
でも極端に疲れた医師や看護師が良いパフォーマンスを発揮できるわけもないので、医療を受ける側・提供する側の両方のメリットとして、ある程度の労働環境が改善出来るように知恵を搾らないと!ですね。
では、また明日です。
by Oshobu~