2019.05.18
ちょっと怖いニュースが流れて来ているので、情報共有したいと思います。
今回のテーマは「乳がん新薬投与3人死亡!副作用か?(厚生労働省が注意喚起)」でお送りします。
昨年の11月から今年の5月にかけて、乳がん治療薬「ベージニオ」を投与された14人が重い「間質性肺疾患」を発症し、うち3人が死亡したと、厚生労働省がプレスリリースしました。
※ベージニオ(一般名アベマシクリブ)とは
ベージニオとは、サイクリン依存性キナーゼであるCDK4およびCDK6を阻害することでがん細胞が増えることを抑える経口分子標的薬です。2018年11月30日に発売され、乳がんの治療薬として使用されています。一般名はアベマシクリブといいます。
ベージニオの適応は「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」とされています。ベージニオの添付文書の注意書きには「本剤の術前・術後薬物療法としての有効性及び安全性は確立していない」とされており、通常、臨床試験以外で手術前後に使用されることはありません。
また、適応上は「手術不能」または「再発された」「ホルモン受容体陽性HER2陰性」の乳がん患者となりますが、「閉経前」の方で「ホルモン療法を受けられてない方」に対する臨床試験結果はありません。(後述)
一方、単剤で使用されることはなく、治療期に応じて既存のホルモン製剤を併用して使用することになります。
類薬に、2017年12月に発売されたイブランス(一般名パルボシクリブ)があり、実診療ではこの2剤のうちどちらかを使用することになりますが、2剤の違いは「併用するホルモン製剤」「使用方法」「発現する副作用の種類」が異なります。
乳がんの新薬ベージニオ(アベマシクリブ)の治療を受ける前に知っておきたいこと | がん情報サイト「オンコロ」
poko pocketさんによるイラストACからのイラスト
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※間質性肺炎とは
間質性肺炎(かんしつせいはいえん、interstitial pneumonia (IP))は肺の間質組織の線維化が起こる疾患の総称である。進行して炎症組織が線維化したものは肺線維症(はいせんいしょう)と呼ばれる。間質性肺炎のうち特発性間質性肺炎(後述)は日本の特定疾患で、その予後は臨床診断によって様々で、例えば器質化肺炎(Organizing pneumonia)は予後良好であるが、特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis: IPF)及び急性間質性肺炎(acute interstitial pneumonia: AIP)については難治性である。
※上記は「間質性肺疾患」の中で主な病気の一例、「間質性肺炎」についての説明です。報道からは間質性肺疾患としかわからず、間質性肺炎ではない別の病気の可能性もあります。
厚生労働省はこの薬の製造販売会社に対し、使用時に注意するよう呼びかける「安全性速報」を出すよう指示しました。
※安全性速報と言うのは、急いで副作用対策を取る必要がある場合に、厚生労働省の指示で製薬会社が出す、注意喚起です。
この薬は2018年9月に承認されたばかりの薬です。
- 手術できない場合
- 再発した特定の乳がん
に使用される飲み薬になります。
推定使用患者数が約2000人ですので、そのうち14人が重い間質性肺疾患と言う事ですから、発生率は0.7%ですので、この薬で改善に向かう方がいる事を考えた場合、即座に使用中止にしない…と言う事なのでしょうか?(素人考えです)
とにかく、この薬の名前は頭の隅にでも置いておいてください。
では、また次回です。by おしょぶ~
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